雛人形には3段、5段などいろいろ規模が違いますが、お殿様とおひな様のすぐ下にいる三人官女は雛人形を語る上では避けて通れない名脇役です。

官女と聞くと召使いのイメージがありますが、平安時代から続く女の世界はまさに男性禁止の大舞台。

後に江戸時代で繰り広げられる大奥に通ずるものがあると言われています。

そんな三人官女の意味や役割をご紹介していきたいと思います。

三人官女とは何者?

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冒頭で少しお伝えしましたが、官女とは召使いのイメージがありますが、男性禁止の世界において、お姫様の生活の全てを管理するのがお仕事です。

今でいうところのバリバリのキャリアウーマンであり、さらに三人官女は言わばトップ3ですから、仕事ができてしょうがないくらいのエキスパートです。

仕事がとてもできるため、お姫様に物事を教える立場でもあります。

つまり家庭教師の役割も担っていたわけですね。

女性が結婚すれば、男性側の家に嫁ぐのが一般的ですが、お姫様の場合は官女も一緒についてきます。

男性としては、お姫様だけでなくて官女とも付き合っていかないといけないわけですから、いろいろと気苦労が絶えなかったのではないかと男の立場だと考えてしまいますね(笑)

基本的にお姫様は悪い言い方をすると世間知らずな場合が多いので、三人官女の役割は非常に重要であり、お姫様の質を決める存在であったとも言えます。

そのため三人官女の位は非常に高かったことが想像できますね。

権力が無ければ周りを動かすこともできませんし、ましてやお姫様に意見することもできないはずです。

雛人形の三人官女は皆さん笑顔ですが、やはりお祝いともなれば、きっと普段は見せない笑顔が自然に出てくるのでしょうね。

三人官女の中の年長者は誰?

三人官女の中には、実は年長者と思われる女性がいますが、誰だかわかりますか?

ヒントは眉と口にあります。

3人の中で一人だけ、眉が無くて口が黒い女性がいるのですが、この人が年長者となります。

この人こそ年長者であり、眉が無くて口が黒いのが何よりの証拠なのです。

実は眉が無くて口が黒いのは、既婚者である証。

既婚者は眉を剃り、お歯黒を付けているのです。

昔は結婚指輪などありませんでしたから、このようにして未婚者と既婚者を区別していたのです。

ちなみに結婚指輪の習慣が日本で広まったのは昭和40年頃と言われていますから、実は結婚指輪の歴史は非常に浅いのがわかりますね。

三人官女の残りの二人は眉がありますし、歯も白いので未婚女性ということがわかります。

きっと若いのでしょうね。

年長者と思われる女性は、三人官女の真ん中に座ることになりますので、覚えておきましょう。

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残り二人はどっちが左?右?

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未婚と思われる若い女官が2人いますが、どちらも酒器と呼ばれるお酒が入った器を持っています。

1人はお茶の急須に似た提子(ひさげ)、もう1人は長い柄がついている銚子(ちょうし)を持っています。

年長者と思われる真ん中の女性は盃(さかずき)を持っていることから、3人とも雛人形の世界観ではお祝いをつぐために白酒を持っているようですね。

では左に位置する若い女官は、どちらなのでしょうか?

実は見分ける方法が1つだけあるのですが、秘密は足にあります。

これは女官が立っている場合限定なのですが、実は2人の女官は前に出ている足が異なっています。

前に出ている足の向きが外になる向きに配置するのが正解となります。

例えば、前に出ている足が左足であれば、左足が外になるように配置するわけですから、僕らから見て左側に配置させるのが正解となります。

もし雛人形が座っていたらどうやって判別するのか?

三人官女が座っていたら足の向き判別はできない場合が多いです。

その場合は、白酒が注がれる順番を覚えておくと良いです。

白酒は、提子(ひさげ)に入っていて、それを銚子(ちょうし)につぎ、そこから盃へ注がれます。

この時、始まりはいつでも左からですから、左⇒右⇒中の順番にお酒が注がれていきます。

つまり、左が提子で、右が銚子ということになるのです。

これをしっかりと覚えておけば、雛人形を飾る時もビシッと飾れますから、お子さんから「パパすごーい」と言われること間違いなし!

僕は早くそうやって呼ばれたいです!(笑)

三人官女が持っている白酒とはどんなお酒?

白酒は蒸したもち米にみりん(または焼酎や米麹(こうじ))を加えて、数週間後に臼で引き下ろすことで作られます。

なんとアルコールは10%前後もあり、甘味が強いのが特徴です。

ビールで4%程度、酎ハイのストロングでも7~8%なので、白酒のアルコール度数はそれなりに高いということがわかります。

そりゃあ「うれしいひな祭り」の歌の中で右大臣が顔を真っ赤にするはずですよ(笑)

ちなみに「うれしいひな祭り」の意味合いや意味深エピソードをまとめてみましたので、また見て頂ければと思います。

⇒参考:名曲うれしいひな祭りは間違いと感動の秘話が入り混じる…子供にしっかりと伝えよう!

ちなみに現代において白酒は酒税法上ではリキュールに分類されるため、家庭で作ることは法律上禁止されています。

間違っても勝手に作ってはいけないということです。

白酒に似たものに甘酒がありますが、甘酒は水分を多めにして柔らかく炊いたご飯やおかゆに米麹(こうじ)を混ぜて、一晩かけて発酵させることで作られますので、全くの別物です。

ちなみに白酒はアルコール度数が10%前後あるのに対し、甘酒は1%前後しかありません。

逆にこの程度のアルコール度数であればお酒とは定義されないため、家庭で作るのは問題ありません。

現代では勝手にお酒を作るには法律に従わないといけないため、何でもかんでも作れるわけではないので注意してくださいね!

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