冬に猛威を振るうインフルエンザですが、インフルエンザウイルスは感染してから発症(病気の症状が出ること)までの間、つまり潜伏期間中でも感染することがわかっています。

どうして発症していないのにうつってしまうのか?潜伏期間中でも発症の症状を軽くする方法はあるのか?

潜伏期間中にやれることはたくさんありますので、今回は潜伏期間中に注目していきたいと思います!

インフルエンザの潜伏期間とは?

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インフルエンザはウイルスの感染によって引き起こされるわけですが、感染したとしてもすぐに高熱などといった症状は発生しません。

感染してから発症(病気の症状が出ることです)の期間のことを『潜伏期間』と呼びます。

潜伏期間はまだ発症していないため、感染した本人には自覚はなく、元気でピンピンしています。

潜伏期間はおよそ2日間程度と言われていますが、人によっては最長で1週間になるケースもあります。

インフルエンザの潜伏期間中、体では何が起こっているの?

インフルエンザの潜伏期間中は高熱が出たり、咳が酷くなったり鼻水が出たりはしません。

しかし体の中では大変なことが起こっており、病気の症状を引き起こす原因を作っているのです。

「潜伏期間中でもインフルエンザはうつるよ!」と言われても、どうしてうつるのかわからないと、対処のしようがないと思います。

ですから、まずは潜伏期間のメカニズムについて紹介したいと思います。

①:インフルエンザウイルスの発生

インフルエンザウイルスは主にヒトからヒトへうつる感染病ですが、主に飛沫感染と呼ばれる「咳やくしゃみ」が感染経路となっています。

咳を1回するだけでインフルエンザウイルスが約5万個、くしゃみだと1回するだけで約10万個のインフルエンザウイルスが空気中に飛ばされます。

空気中に飛ばされた時は水分を含んでいるのですが、次第に水分は無くなり、空気中を漂うことになります。

インフルエンザウイルスが生存するのに適した条件である、低温度、低湿度だと24時間は感染させる力があると言われています。

②:インフルエンザウイルスの感染

空気中に浮遊しているインフルエンザウイルスを呼吸によって吸い込み、喉の上皮細胞(一番外側の細胞で、外気に触れていたり液体にさらされたりしている上皮の細胞です)に到達すると、感染の可能性が出てきます。

喉の上皮細胞にあるシアル酸(ヒトと他の生物との結合を制御する糖)にインフルエンザウイルスが結合してしまうと、感染となります。

③:インフルエンザウイルスの遺伝子が上皮細胞へ侵入

ウイルスがシアル酸と結合することで、ウイルスの遺伝子は細胞の中へ侵入することができます。

細胞の中には核(ヒトの細胞の設計図であるDNAが合成されるところ)があるのですが、核に到達してしまうと、核はウイルスの遺伝子にくっついている酵素の働きによって、誤ってウイルスの遺伝子を大量に量産してしまいます。

驚愕の事実ですが、なんとインフルエンザウイルスを複製するのは自分の体だったのです!

④:インフルエンザウイルスの息子が誕生

複製されたインフルエンザウイルスの遺伝子は、核の外で作られたパーツを取り込んでウイルスコアとなり、上皮細胞から出てウイルス粒子として外へ出ます。

インフルエンザウイルスの息子が誕生した瞬間ですね。

ちなみに1つの細胞からインフルエンザウイルスは1000個くらい作られるようです。

⑤:②~④を繰り返し、インフルエンザウイルスはどんどん多くなる!

こうして作られたインフルエンザウイルスの息子は、②~④を行うことで孫、ひ孫とどんどん増殖を繰り返します。

結果的に1つしかなかったインフルエンザウイルスは、24時間後にはなんと100万個にまで膨れ上がるのです。

⑥:体の内部組織が異常を感知し、潜伏期間は終了する

増殖を繰り返すインフルエンザウイルスに、ついに体の内部組織が異常を察知します。

そして、このままではまずい!と臨戦態勢を取るのです。

体が行う作戦は主に二つ。

  • 体の免疫力を上げて、ウイルスに抵抗する
  • ウイルスの勢力を減らすために体の外へ排出する

1つ目の作戦においては、主に体温を上昇させます。

体温が1℃上がると、体の免疫力は30%ほどアップすると言われています。

これが病気の症状で言う『38℃以上の高熱』ですね。

またこれ以上の侵入を阻止するため、鼻の粘膜を強化します。

これが病気の症状で言う『鼻みずダーダーで辛い』です。

2つ目の作戦においては、咳やくしゃみが挙げられます。

飛沫感染の元になるやっかいな機能ですが、元は体内にあるウイルスを排除するための処置なのです。

発症とは病気の症状が現れることを言いますが、言い換えると体がウイルスに抵抗を始めたということでもあります。

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潜伏期間中でもうつるのは、潜伏期間中はウイルスを大量増殖中だから

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潜伏期間中に体で起こっていることは、どんどんウイルスを増殖させているということがわかりました。

ですから、まだウイルスの数はピークを迎えていないとは言え、既に体内には大量のウイルスがいるということになります。

この状態で咳やくしゃみをすれば、少なからず空気中へウイルスが排出されるのは火を見るより明らかです。

潜伏期間中は自覚症状はほとんどありませんが、高熱が出るより前に体が対策として咳やくしゃみを行うことはよくあります。

突然咳やくしゃみが出て、それが続くようであればインフルエンザに感染している恐れがありますので、早めにマスクをするなどして対処しましょう。

潜伏期間中に症状を軽くするためにできること

インフルエンザに感染してしまうと、通常であれば早かれ遅かれ発症してしまいます。

しかし、インフルエンザに感染してから、体が行う対処を手助けすることはできます。

体が行う臨戦態勢とは、「体の免疫力を上げること」と「体の外へ排出させること」でした。

体の外への排出は咳やくしゃみが主となりますが、体の免疫を上げることはできますよね。

十分な栄養を取ること、十分な睡眠をとること、そしてウイルスが生存しにくい環境を作ることは今からでもできることです。

インフルエンザウイルスは低温度、低湿度が心地良いと感じさせる条件なので、なるべく部屋の温度は上げる、そして加湿器などで湿度も50~60%程度まで上げることが重要となってきます。

また、感染の疑いがあるようであれば、家族にうつさないようにしなければいけません。

特に子どもは体力も低く免疫力も弱いので、うつらないように心がけてください。

子どものインフルエンザの症状については、以下にまとめましたので参考にして頂けると幸いです。

参考:【子供のインフルエンザ】4つの症状と9つ療養ポイント厳選まとめ

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