【すし詰め状態は満員電車なんだろうけど、基準はあるのか?】

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いつも朝に電車に乗れば、大抵待ち構えているのはすし詰め状態の極悪な環境です。

人はこれを満員電車と呼んでいるわけですが、具体的にはどのような状態を言うのでしょうか?

満員電車とは、その名の通り満員になっているわけですが、定員がオーバーしてしまっている状態のことを言います。

およそ定員は、車両の大きさや鉄道会社によって多少の差はあるものの、およそ140~180名程度となっています。

では、定員に達した時、車内ではどのような環境になっているのでしょうか?

【定員状態でも、人は立っています!】

定員状態の場合、まず座席の数だけ人が座ります。

これは当然ですね。

ではそれで終わりかと言うと、そうではありません。

車両には吊り輪があったり、ドア付近(連結部含む)に手すりがあったりします。

つまりこれらは立ち席ということになります。

座席の数と立ち席の数を足したものが定員ということになりますね。

この定員を超えると、意味合いとしては『満員電車』ということになります。

ちなみに新幹線の場合、定員は座席に限られています。

新幹線に吊り輪や留まるための手すりがないのは、そういった理由からです。

とは言え、帰省ラッシュなど、自由席が座れない場合は、通路に立ったり座ったりしている人が多くなるのも事実です。

【そもそも、満員電車って違法じゃないの?】

これはよく聞かれる質問ですね。

確かに乗用車、エレベーター、テーマパークのジェットコースター、ベビーカー…

それが自動であれ手動であれ、人間が乗るものであれば、必ず定員が定められています。

この定員を超えると、乗用車であれば交通法違反となりますし、エレベーターであれば超過となるとブザーが鳴ります。対処をちゃんとしないと建築基準法に違反しますからね。

ちなみにジェットコースターも同じ建築基準法が適用されます。

ベビーカーは懲罰はないものの、メーカーも安全を保障していませんので、何か事故があっても親の責任ということになります。

では電車はどうなのか?

『○○電鉄、定員超過で社長逮捕!』

みたいなニュースは見たことありませんね。

そうです、電車には定員超過での罰則はないので、違法とはならないのです。

違法じゃないというよりは、法律がないと言った方が正しいかもしれませんね。

ではどうして、電車の定員超過には法律がないような扱いをされているのでしょうか?

【定員には、保安定員とサービス定員がある!】

乗用車などの乗り物にある定員だと法律があって、電車の定員には法律がないような扱いをされているというのは、実は『定員』の意味合いが異なるからです。

乗用車などの乗り物には『保安定員』が適用されているのに対し、電車の場合は『サービス定員』が適用されているのです。

保安定員とは、『危険を回避するために定められた定員』のことです。

先ほどのベビーカーでも少し触れましたが、保安定員を超過してしまった場合、事故が発生する恐れが出てくるのです。

罰則についても、別にいじめたくて設けられているのではなく、事故を未然に防ぐための処置だと言えば納得もできます。

そしてサービス定員ですが、これは『快適に過ごすことを前提とされた定員』を指します。

つまり電車の定員とは、危険を回避するためではなく、あくまで快適に過ごせるかどうかを基準にした定員ということですね。

ですから、『満員電車』というのは、サービス定員を超過しているわけですから、

快適に過ごせない状態にある環境

ということになります。

満員電車には度合いがあり、「実際の乗車数」÷「サービス定員数」×100(%)で定められた指標があります。

よくお盆や年末年始に聞く『乗車率』とか『混雑率』ですね。

  • 100%:定員(1人1人が快適な環境)
  • 150%:楽に新聞を広げて読める状態
  • 200%:体が触れてしまい、相当な圧迫感があるものの、週刊誌程度なら読める状態
  • 250%:電車が揺れる度に体も斜めになってしまい、手が動かせない程身動きが取れない状態

スマホが普及した昨今だと、230%くらいで「相当な圧迫感があるが、スマホは操作できる」という指標を足しても良いのかもしれませんね。

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【では満員電車は危険じゃないのか!?】

電車に保安定員がないわけですから、危険がないように受け取れます。

しかし実際に毎日満員電車の窮屈さを考えれば、カバンやリュックサックがぶつかったり、ヒールで足を踏まれたり、壁や窓に押しつぶされたり、ケガをする要素は当然あるわけです。

十分危険は潜んでいますし、外的要因であるにしても、結果的に被害者になるのは御免こうむりたいものです。

ただ、保安定員が言う「危険」とは、生命に関わるレベルであると認識できます。

電車で言うのであれば、脱線事故であったり、衝突事故であったり、そういったレベルですね。

電車は決められた線路の上しか走りませんし、乗用車のように入り乱れることもありません。

材質も頑丈ですし、安全に走行できると判断されているのでしょうね。

満員電車になっていたことが原因で、脱線事故や衝突事故が起こったか?と言われれば、それは「ない」という結論になってしまいます。

当然満員電車になることで電車が重くなりますから、事故を起こした時の被害はより大きなものになるかと思います。

しかし電車の速度制限が守られていれば、或いはしっかりと安全確認をしていれば、防げた事故であったのは確かです。

いろいろと腑に落ちないところもありますが、今のところ満員電車そのものが法律的に許されない存在ではないということです。

満員電車を毎日体験している人から見れば、いち早く何とかして欲しい問題ではあるんですけどね…

それでも一昔前までは乗車率300%を超える時代もあったらしいのですが、最近は平均して200~250%程度までに抑えられているようです。

あくまで平均ですから、特定の路線や、特定の区間では今でも300%を超えるところはあると思いますが…

【昔から満員電車は存在していたのか?】

健全かどうかで言われると、やっぱり健全ではないのが満員電車。

法律的にグレーゾーンでOKとされていたとしても、やっぱりどうにかして欲しいところです。

しかし、ベッドタウンなど郊外に住んでいる人が、同じタイミングで同じ場所へ進もうとすれば、当然大渋滞になります。

電車の本数も限られていますし、皆遅刻とかしたくないわけですから、強引にでも電車に乗ろうとするわけです。

すると満員電車と化してしまうわけで、必然的に起こってしまうものなんですよね。

ちなみにですが、およそ100年前は、『座席が空いてなければ、車両の中に入ってはいけない』という決まりがあったそうです。

これがどこまで有効(罰則があったり、ちゃんと守られていたか?)は定かではありませんが、多分当時は電車に乗るのにしても、高額で簡単じゃなかったでしょうから、それはそれで良かったかもしれません。

しかし、庶民にとっても無くてはならないものになった現在では、そんなこと言ってられません。

ですから、解釈に続きが付け加えられました。

『但し、お客さんが乗りたいのであれば、乗っても大丈夫!お客さんが乗りたくないのに、強制的に乗せるのはダメ』

この追加内容はすごいですね。

「あとは勝手にやってくれ」と言わんばかりの責任逃れのような内容です。

しかも追加内容には、乗りたいと思うお客さんと鉄道会社しか登場しませんが、実際には『既に乗車している人』がいるわけで、そこが無視されているのは非常に痛いです。

どれだけすし詰め状態になったところで、既に乗車している人のことはお構いなく乗り込んでくるわけですから…

なかなか鉄道会社に都合の良い満員電車の歴史になっちゃっているのが気になりますが、満員電車という現象は、都市部に限らず、地方でも起こっている日常とも言えます。

【満員電車が無くなる日は来るのか?】

満員電車の歴史は100年もあるわけですが、100年経ったって満員電車が無くなる気配はありませんね。

おそらく違法性がないから、ずっと野放しになっているのが現状です。

あとは無くそうとしても物理に難しいですよね。

どうやら東京では二階建ての電車を作るとか構想はあるようですが、地上は良くても地下は高さの問題があるため困難を極めると思います。

いつも朝や夕方に電話を利用している方は、満員電車とは逃れられない運命にありますので、上手に付き合っていく術を身に着けたいところですね。

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  • 満員電車とは、定員を超過してしまった状態のことを言う。
  • 但し定員はサービス定員のことなので、超過してしまっても違法ではない!
  • 満員電車の歴史は実に100年。ルールは鉄道会社に都合の良いように変化した。
  • 満員電車が無くなる日は多分来ない!上手に付き合っていく術を見つけよう!